新選組:幕末、京の治安を守るために結成された、国の警察組織。
よく彼らを「暗殺集団」とか「テロリスト」という人がいますが、それは大きく違っています。幕末に身を置いてみてください。
当時は幕府が国家。新選組は国の役人、国を守る「警察」でした。
一方。京都中を火の海にして、天皇をさらおうと企てたのが討幕派。当時、「人斬り、テロリスト」と言われたのは、新選組ではなく、むしろ勤王倒幕派(薩長西軍)です。女を犯し、金を盗み、市民を騒がせたのは、倒幕派(西軍)の方です。
その暴力を防ぎ、国や市民を守っていたのが、国の警察である新選組なのです。ところが、(当時の)逆賊がなんと天下を取ってしまった。
今の世は、その討幕派(当時の逆賊)が作った時代。
「勝てば官軍」という上辺だけの視点から、敗者、つまり結果としては官軍(という言い方は嫌いですが)に背いた形になってしまった新選組を「悪役」扱いにするのは、大きな片手落ちでしょう。あれから百数十年後、全ての経過を知っている我々と、一秒先もわからずに生きていた彼らとを同じ視点で見るのは、残酷です。卑怯です。そして軽薄過ぎます。
歴史を判じるなら、まず一旦は当時の立場に立つべきです。
彼らと同じ条件で、歴史を見るべきです。例えば(あくまでも例えば、です)今、西国から暴力集団が東京に押し寄せ、東京中に火を放ち、警察庁官を殺し、天皇を西国の某県に連れ出して、こっちで政治をやり直す!と言って、実際押し寄せてきたらどうしますか?
警察は、すべてを守るため、彼らを捕まえるでしょう。
もしかしたら彼らは、今の内閣より、立派な政治をするかもしれない。
でも、その保証はどこにもない。
とにかく今は、そういう暴力から、すべてを守るために戦い、逮捕するしかないでしょう。
この場合、警察は、「逮捕(暗殺)集団」になるんでしょうか?私は、新選組には「思想」はないと思います。
それをバカにする人もいますが、では、今の警察に「思想」はあるのですか?
警察の仕事は、思想云々ではないでしょう。
警察に思想があってはたまりません(笑)思想云々ではなく、純粋に国の市民の平和を守る。それこそが警察の役目でしょう。それを侵そうとする暴漢を捕まえるのは、警察の正当な仕事です。
逆に、暴漢さえいなければ、警察は何もしなくていいのです。
新選組だとて、西軍(テロリスト)が暴力を使ってこなければ、出動することはなかったはずです。その必要はないからです。
思想があわない人間を捜し出して斬るような、特効警察のようなものとは違うのですから。
そういう意味でも、新選組に思想はありません。あってはならないのです。純粋に、国を、街を、思って警官に志願し、真面目に必死に働いた。
ただ、それだけのことなのです。
(もっとも、新選組の全てが正しいわけではありませんが)
思想だの、美学だの、そんなものは彼らにはなかった。それはすべて後生の我々が勝手に押しつけたもの。
自分たちの勝手な理想を彼らに押しつけるのは、失礼なことです。もっと彼らの純粋な生き方を見てあげて欲しい。
そう思います。土方ゆうと
『近頃妙に新選組が話題になって、いろいろな相談を受けたりするが、私は先ず第一番にいうのである。
「新選組は京都守護職支配下の役人、警察隊の1グループである。まずそれをわかっていただければ、かれらのやった事の御理解が参りましょう」と。』(子母澤寛先生)